web版 陽岳寺護寺会便り

下町深川の禅寺 陽岳寺からのお知らせのブログです

映画『her/世界でひとつの彼女』

映画『her/世界でひとつの彼女
みてきました。
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映画『her/世界でひとつの彼女』 (her_spikejonze) on Twitter


舞台は近未来。
主人公の名前はセオドア、中年男性。
ヒロインの名前はサマンサ、OS。


たぶんLAで、セオドアはある仕事についている。冒頭で分かるのだけれども、“近未来”という設定でなら、この仕事があってもおかしくはないと思う。まだ郵便配達も機能しているし。


セオドアの仕事のように、OSとの比較につかわれる“近未来”は見ているだけでも楽しい。そして“近未来”という設定を、さらに越える存在としてOSが出てくる。


物語は「次のステージへ」とどんどん進んでいく。OSとの出会い、真剣な恋にすすむための儀式、道具としての役割を越えるための儀式、あらたな恋にすすむための儀式。


「次のステージへ」の扉や鍵は、物語にちりばめられ、セオドアの一人芝居(になってしまうのは、相手がOSだから)も退屈しない。


人間や生物における「次のステージへ」の終着点は「(肉体における)死」だけれども、恋における終着点はどこか。
伝統工芸や哲学や歴史のように、代々とスキルなど引き継ぐことの出来ない『恋愛』をどう扱うか。ここに人間・OSの違いがでてくる。
結局“近未来”になっても、人間の活動は変わらないんだなー・・・という想像が豊富にでてくる。フラッシュバックであらわれる過去の時間経過や、現在の時間経過がその証拠。
パソコンのインターフェース、エレベーター、ゲームの見た目は変わるけれども(オシャレで進んでいる)、ママさんとの付き合い・ワークライフバランスなどに縛られる人間たち。


人間も非言語の会話をするけれども、OSのそれは予想をはるかに越えて人間を置いていく。着いてこれるか分からないものたちを突き放す優しさなのかな、とエンディングについて感じたのだった。
わたしたちの写真がない代わりに・・・というくだりは素敵だと思う。


だいたいのあらすじを書いたけれども、女性には理解できない部分がありそうだ。ちなみにPG12で、上映時間128分と長いので、子どもにはちょっと・・・かもしれない。

映画『her/世界でひとつの彼女』予告編 - YouTube