読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

web版 陽岳寺護寺会便り

下町深川の禅寺 陽岳寺からのお知らせのブログです

もしお坊さんが『ゲーミフィケーション』を読んだら(前編)

#denkimeter。それは節電ゲーム、電力使用量から自分の戦闘力を割り出して競うゲームのこと(#denkimeter 2.01 beta)。
このゲームのデザイナーが書いた本である。

ゲーミフィケーション―<ゲーム>がビジネスを変える

ゲーミフィケーション―<ゲーム>がビジネスを変える


以下、アマゾンの内容紹介。

〈ソーシャル〉は社会を変えた。次は〈ゲーム〉がビジネスを変える番だ――。なぜソーシャルゲームはCMで大量に宣伝するほどに莫大な利益を生んでいるのだろうか?〈ゲーム〉を読み解けば、今のビジネスが見えてくる。これからのキーワードである「ゲーミフィケーション」を知るための一冊。

オバマは大統領選において、「ソーシャルメディアをうまく利用して勝利した」とされているが、実はそれだけではない。〈ソーシャル〉とともに、自らを勝利へと導くための〈ゲーム〉を組み込んだからこそ、歴史的な勝利を収めたのだ。

ナイキ、スターバックス、ディズニーなどビジネスで成功する企業は、〈ゲーム〉を巧みに利用することで、顧客や従業員とのエンゲージメント(関係性)を維持している。「ゲーミフィケーション」はロングテールWeb2.0、フリーミアムなどに続くテクノロジーのトレンドワードとして、米国ガートナー社が認めるハイプサイクルに登録された。

「グローバル2000企業のうち70%以上の企業は、少なくても何らか一つはゲーミフィケーションの仕組みを持つことになるだろう」と同社はコメントしている。

ソーシャルゲームが莫大な利益を生み出すなか、〈ゲーム〉を知らずして今のビジネスは語れない。本書は「ゲーミフィケーション」 を深く知るために書かれた一冊である。


そこで、今回のブログの記事では、寺院の活動にゲーミフィケーションを導入できないか考えてみます。
第1章・第2章で、ブログの記事も前編・後編と分けて考えていきます。まず、ゲーミフィケーションとは何か。導入できそうか、学んでいきました。

目次

  • Chapter1 ゲーミフィケーションとは何か

Part1 ソーシャルはゲームへ
Part2 ゲーミフィケーションの誕生
Part3 ゲーミフィケーション・インパク
Part4 ゲーム環境の拡大-空間、時間、人

  • Chapter2 ゲーミフィケーションを考える

Part5 ゲーミフィケーションの実践のために
Part6 ゲーミフィケーションとその論点
Part7 多様なゲームの可能な社会へ

きっかけ・目的

ゲーミフィケーションはゲームの考え方やデザイン・メカニクスなどの要素を、ゲーム以外の社会的な活動やサービスに利用するものとして定義される。(p.11)

寺院の活動にゲーミフィケーションを導入できないだろうか?ゲーミフィケーションを持ち込むことで、寺院の活動により多くのフィードバックを得たい。そしてフィードバックをより良い活動へ、檀信徒縁者の方々へより還元したいという気持ちから、この問いは浮かびました。
結婚したんですって?修行はどうでしたか?ご住職やお母様はお元気?と、私たち家族を心配してくださる方々は大変多くいらっしゃいます。また震災の後、お寺やお墓はどうでしたか?ヒビが入ったりしましたか?お位牌や仏像が倒れたりしましたか?と、陽岳寺を心配してくださる方々も。誠にありがとうございます。
しかし、陽岳寺の活動にたいして、どのように感じているのか・思っているのか、具体的に知るためには、個人個人と時間をかけてお話しするだけで難しいところがあります。護寺会便りは分かりやすくて楽しみにしている、法事や葬儀の内容はいままで聞いたことのないものでしたetc.のお声をいただきますが(重ねて御礼申し上げます)、中身まで言及される方はあまりいらっしゃいません。家族からは率直な意見がきけるものの、極端な偏りがあるでしょう。そして独りよがりの感もあります。かといって、来寺された方にどうですか?といきなりお聞きしても、「よかったです」と言うに決まってます。
そこで、陽岳寺檀信徒縁者の皆様に、陽岳寺の活動について考えてもらい、つっこんだ評価をしてもらえるようにすることを目的として、ゲーミフィケーションの導入を考えてみたい。そして何よりも、檀信徒縁者の皆様の内的向上について自然と・おのずから取り組んでいただくことを手助けすることを最終目的とします。
ちなみに、活動を支えるツールがゲーミフィケーションであり、陽岳寺の活動とは仏教布教・与楽抜苦のこと。陽岳寺をささえてくださっている方々は檀信徒縁者となります。私たちも含みます。
この本では、ゲーミフィケーションの概念の広義、狭義、最狭義が最終ページに付録として載っています。

「ゲーム」は、関係性を発生・維持することを助けてくれる?かも

前半では、ゲーミフィケーションとは、いつからはじまったのか。どういったものなのか。何が新しいのか。ウォーキングにおけるゲーミフィケーションの進化の過程を説明していますが、この進化に大きく影響をおよぼす3つの要因。「物語」「ソーシャル」「ゲーム」の関係性についても述べています。

    • 物語:分かりやすい物語は、スケール(拡散)しやすい
    • ソーシャル:一人遊びにならない。使い方を誤れば炎上するし、ネタ消費もされる
    • ゲーム:ユーザーのアクティブ率・リピート率を高める。「ゲーム」への先入観の問題


「ゲーム」における、ユーザーのアクティブ率・リピート率を高めてくれる可能性がミソなのでしょう。ただ、どんな関係性を求め、どんな「ゲーム」にするかが問題です。

今までは、こうした人々に対して、「みなさん、ここの商品はすばらしいんです」といつも同じ言葉を繰り返すしかなかった。こうした方法は一見さんを掴まえるのには適しているかもしれないが、一度その店のよさを知ったら、何度も使わなくてもいいという人も多い。(p.57)

たしかに常連さんになってもらわなければ、それっきりです。そして常連さんには能も無く同じことの繰り返しで飽きられる。しかし「ゲーム」を用いると、一見さんにも、常連さんにも、そのたびごとに新しく、同時に対応することができる。


一見さん、常連さん。この関係を関係性ではなく、縁と言えば世界は一気に仏教的になります。
この縁はけっして切れることはありませんが、薄れもし細くもなります。どうにかつなぎ止められないか。そして、内的向上をも支えられないか。しかもそれが、こちらからの働きかけも無しに、手助けとなってくれるのなら最高でしょう。
お寺と檀信徒縁者さんとの縁もそうですが。檀信徒縁者さんたち同士、そして檀信徒縁者さんもお寺と何も関係のない人間関係、普通の人間関係において、なんらかの手助けになること、それが本望です。

なにを数値化?楽しみを持続してもらう方法は?〜ゲーム的な仕組みの導入への懸念

第1章では、いろいろな例が示されています。ポイント制、スタンプカード、カルマカップ、シリアスゲーム、ワッパーサクリファイス、スカベンジャー、フォースクエア、駅スタンプ、バッジヴィル、ユニクロラッキーライン、コーデカデミー、リップル、ギネス世界記録など(以上すべてが、本書のいうゲーミフィケーションというわけではない)。
上記の例ではそれぞれの、動機付け、楽しむまでのハードルの低さ(どうやって楽しむかの手順の分かりやすさ、ケータイで出来る!無料!などの取っつきやすさ、)、方向性、中身、が多岐にわたっています。
フィードバックをいただいても放置しては意味が無いし、罰則を与えるためのゲームでは追い立てられるようで受け入れられないでしょう(罰則を与えるより、ほめるほうが強化されやすい)。
かといって、お参りにいらしたらスタンプ一つ。法事をしたら100ポイント。お骨の分だけ・・・とすると不謹慎すぎる(ゲームへの先入観・倫理観の問題=受け入れられやすさ・敷居の低さ)。
数値化できることはゲーミフィケーションの要素になります。たとえば#denkimeter、レコーディングダイエット。測る技術の向上と、測るためのコスト削減がすすみ、なんでも数値化されやすくなりました。
また、人の欲望は際限はないけれども、ひとつの欲望がずっと飽きられることはありません。近年、インターネット・スマホによって、時間のあり方も変化しています。

護寺会便り集めゲーム

ほぼ月刊 陽岳寺護寺会便り@d.hatena.ne.jp
ほぼ月刊 陽岳寺護寺会便り - 素山 | ブクログのパブー
護寺会便りは、ほぼ月刊。いま現在は毎月送ることができていますけれども(現在No.130より多い)、護寺会便りをバインダーにまとめてくださっている方がいます。切手を集めるように、護寺会便りの枚数が増えて喜んでくれている、というわけです。月一回というタイミングで、この楽しみは持続されます。こう考えれば、護寺会便り集めはゲーム要素を含んでいるといえます。
しかし、人と、その人の生活の空間と、その人の生活の時間によって、護寺会便り集めは楽しくもなるだろうし、ゲームにもなりません。
現実が忙しくて、他に楽しいことがあって、楽しめない。集めたからといって誰かに評価されるわけでもない。文字が読めない小さい子には理解できない。


ゲーミフィケーションのインパクトが大きいことは分かりました。たしかにゲームは人間の行動を変える力があります。それでは、どうすれば?次回は、「Chapter2ゲーミフィケーションを考える」を読んで、考えます。

関連商品

ゲーミフィケーション―<ゲーム>がビジネスを変える

ゲーミフィケーション―<ゲーム>がビジネスを変える


幸せな未来は「ゲーム」が創る

幸せな未来は「ゲーム」が創る