web版 陽岳寺護寺会便り

下町深川の禅寺 陽岳寺からのお知らせのブログです

覚悟の決め方〜僧侶が伝える15の智慧

5人の仏教僧が語る、15の智慧。

覚悟の決め方 僧侶が伝える15の智慧

覚悟の決め方 僧侶が伝える15の智慧


【本の概要】
有名どころ(と私が勝手に思っていますが)、震災後の仏教者による世間へのメッセージ。2011/6/30初版第一刷発行。
生き方を変える?変えない?今こそ仏教。3・11からの生き方指南。


以下、アマゾンの内容紹介。

「本書は危険な道に踏み込む『覚悟』を持った、勇気ある僧侶たちの「3・11後」の言説が集められている」(評論家・宮崎哲弥 本書解説より)
地震や津波、制御不能となった原発への不安・恐怖、機能しない行政システムへの怒り、何もできない無力さ……。
日常の儚さ、隣り合わせにある死を体感し、多くの人がいまだ混乱の只中にいるなか、必要とされるのは“日常”を生きる“哲学”。
そのヒントは“仏教”にあった。本書は、地震後の“空虚”への処方箋、価値観の再構築のヒントを、5人の僧侶が仏道の見地からわかりやすく提示。 15の言葉が優しくも厳しく、心を整えてくれる。

河野太通氏、南直哉氏、釈徹宗氏、田口弘願氏、小池龍之介氏。知ってる人は、肩書きなど忘れて、読むことが出来る本です。


『覚悟の決め方〜僧侶が伝える15の智慧』とタイトルにあるように、日本の仏教界からピックアップされた?仏教僧が、それぞれ寄稿しています。
臨済宗、曹洞宗、浄土真宗の西と東、真宗出。読んでみると、著者の宗派によるカラーはあまり感じません。でも仏教という点で、すごく繋がっているなと。
皆さん、いろいろ語っていて、盛りだくさんという印象。この本を足がかりに、それぞれの著書にも手を伸ばしてみてください。

目次
河野 太通(1930年生まれ。臨済妙心寺派第三十三代管長、全日本仏教会会長)

  • 「縁」によって、生かされて
    • その「縁」を引き受ける
    • 祈りは救い。祈りは元気をいただくこと
    • ただ、生かされている自分に、ごめんなさい、ありがとう。


南 直哉(1958年生まれ。曹洞宗霊泉寺(福井県福井市)住職、恐山菩提寺院代)

  • 無力さを自覚し、我が身に問う
    • わからない。それでも、かかわり合う
    • 無力は恥ではなく、無力さを知らないことが恥
    • 「問い」がなければ、答えは無意味


釈 徹宗(1961年生まれ。浄土真宗本願寺派・如来寺(大阪府池田市)住職、相愛大学人文学部教授)

  • 儚いからこそ、愛おしい
    • 手順を知る
    • 慈しみの言葉が世界を変える
    • バランス感覚を鍛える


田口 弘願(1961年生まれ。真宗大谷派僧侶。現在、東京・四谷にある『東京坊主Bar』のオーナーを務めつつ、法話講師として活動)

  • 今、ここにいる「自分」を大切にする
    • 「我慢」という「手柄」にとらわれない
    • つながりの中でしか生きられない
    • 今の君でいい


小池 龍之介(1978年生まれ。月読寺(東京都世田谷区)、正現寺(山口県山口市)住職)

  • 鈍った感覚を研ぎ澄ます
    • 「事実」と「印象」は違う
    • 誰のどんな苦しみも同じ
    • 死を徹底的にイメージする

感想

それぞれの生き様が、文章ににじみ出ています。
河野太通師。現在、臨済妙心寺派第三十三代管長、全日本仏教会会長。阪神大震災の時、聖福寺にいて被災しています。当時「がんばれ」という言葉に半ば腹立たしくなるが、この震災にあたり「がんばれ」と自分も言う様になる。それは何故か?
南直哉師。曹洞宗霊泉寺(福井県福井市)住職、恐山菩提寺院代。河野太通老師もそうですが、南師もどうにもならないことに対する姿勢について述べています。しかも、ひたすらに、今回の東日本大震災に際して書いています。恐山という場所で感じるままに、書かれたように思いました。
釈徹宗師。どうしてもそうなる、そうなってしまう人間の心の動きに対しての対処について、などなど。たとえば、かなり偏った共感の仕方について〜不謹慎同調の圧力(大家族に必要な分は、必然と多くなるのに、買いだめしているとバッシングされる主婦)。ある仏教の概念とともに、東日本大震災・友人・ある精神科医に触れつつ、述べています。
田口弘願師。自分と、その周囲との関係に基づき、1000年ぶりと言われる震災からの苦しみを解いています。謙遜もせず、卑屈にもならず、とても優しい語り口です。マイルドでありながら、核を感じます。
小池龍之介氏。テレビでは、東大卒和尚、理論派和尚と紹介されたりしますが、じっさいはギャグを織り交ぜたりして。ただ、この本でもギャグはありません。たくさん本を出してらっしゃるので、お読みになってはいかがでしょうか。


仏教界お決まりの言葉があります。「おかげさま」「今ここを生きる命」「ありがとう」などです。ただ・・これらの決まり文句には、言葉として、退屈かに見えます。しかし本書では、姿形を変えて、どんどん出てきます。基は同じ。本質は同じなのです。なんとも短い言葉で表している素晴らしさに目覚めて下さい。
気付くことの大切さ。理解できないことに相対した時こそ、覚悟の時だと気付くでしょう。

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